記事「日経新聞」 の 検索結果 2588 件
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『黒書院の六兵衛』(7)「こちらへ」 お迎え役の栗谷清十郎なる武士が、みずから馬の轡を取った。 「御本丸ならばまだ先でござろう」 「御本丸は文久の亥の年に焼けてしまいましてのう。かてて加えて、昨年は二の丸が燃え..
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『黒書院の六兵衛』(5&6)尾張徳川家は家康の第九子義直を家祖とする御三家頭である。 武家の目上には従一位太政大臣を極位極官とする徳川将軍家があるばかりで、同格も紀伊徳川家のほかにはない。その紀伊家にしても家祖は弟にあ..
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『黒書院の六兵衛』(4)外桜田門には、揃うて黒い蝙蝠傘をさした一団の武士が待っていた。 旧幕臣の間には、この黒木綿の西洋傘が流行していた。 侍たちに害意は感じられぬ。むしろ礼を尽くして、官軍の使者を出迎えている..
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『黒書院の六兵衛』(3)そうこうして加倉井隼人の率いる一隊が四ッ谷御門に至れば、門前はいかにも戦場めいた篝火などが雨にけぶっており、袴の股立ちを取った大勢の侍が踏ん張っていた。 「尾張大納言家来、加倉井隼人と申す。勅..
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『黒書院の六兵衛』(2)官軍が入城するに先立っての露払いというわけで、まず命などいくつあっても足るまい、と加倉井隼人は肚を括った。 いかにわけのわからぬ話でも、官軍と上司に囲まれて下知されたのでは返す言葉もなかった..
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『等伯』(465)「宗宅はどうでしょう。少しはお役に立つようになったでしょうか」 「よくやってくれておる。本当は江戸につれて行きたいのじゃが、こちらの切り盛りをする者が必要でなあ」 「私も去年、本延寺さんに..
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うっはww借金って999兆でカンストじゃねーのかよwww久しぶりにリクエストがあったので、今回は「日本の借金」についてやってみようかと思う。 ただの薬屋がブチアゲても良い話の限界を大きく踏み越えている気がするけど気のせいだよね! できるだけ分かりや..
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『黒書院の六兵衛』(1)その日の江戸は鼠色の糠雨にまみれていた。 生まれ育った江戸の景色が、なぜかきょうばかりは見知らぬ町に思えて、加倉井隼人はしはしば馬を止めた。 隊長が止まれば小隊が止まる。隼人はふたたび駒..
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『等伯』(464)幸い住職は好意的で、法要の時と同じように大本堂に掛けてくれた。縦五間三尺(約10メートル)、横三間二尺(約6メートル)もある大涅槃図は、描いた時のままの鮮やかさを保っていた。 等伯はこの..
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『等伯』(462&463)それから十六年の月日が流れ、等伯は七十二歳になった。 妙心寺隣華院に「山水図」を、大徳寺真珠庵には「商山四皓図」を、南禅寺天授庵には「禅宗祖師図」を描いたし、春屋宗園や千利休の肖像画も手..
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『等伯』(460&461)「それでは皆の者、前々からの約束じゃ。本日の引出に絵を披露いたす」 酒に酔った秀吉が、機嫌のいい声を上げた。 秀吉と淀殿と拾丸が座った上段の間の後ろには、狩野永徳が描いたものより二倍も..
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『等伯』(458&459)「この絵を伏見城にお持ちになりますか」 「ああ。これなら首を賭けても悔いはない」 「その前に見ていただこうと、大徳寺の春屋長老を呼んでいます」 その言葉を待っていたように、取り次ぎの小..