記事「芹沢鴨」 の 検索結果 58 件
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鬼の章(94)万一、彼らの情報で動いた服部が斬られるようなことになっても助けに入ることはない。最初に会った時に、そう明言されていた。 「服部さま」 今度は背後からの声に服部が振り替える。そこには一頭の馬と、その..
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鬼の章(93)猛烈な勢いで街中を走る服部が向かうのは、茶岡だった。布切れは、茶岡の暖簾の切れ端だったのだ。 何があったのだ。詩織は無事なのか。気ばかりが焦る。息が切れるのも構わず、服部は走り続けた。 やがて服部..
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鬼の章(91)「服部よ。俺もお前さんとは長い付き合いだ。俺だけではない。ここにいる多くの者は江戸からの付き合いだし、そうでない者も互いに命を預ける同志として誓い合っている筈だ。違うか?」 「はい、私もそのつもりで..
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鬼の章(90)その時、店の戸が激しく打ち破られた。 驚きのあまり、詩織には悲鳴も出ない。彼女の眼前に立ちはだかった大きな影。芹沢鴨だった。 驚いた様子こそ見せているものの、悲鳴を上げるでもなく、芹沢を見据えたま..
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鬼の章(86)狼狽える平間や野口の視線を受けながら、そう言って笑う芹沢の表情には、既に余裕が戻っていた。 「京都天狗党、芹沢鴨である。儂の前に立つならば、命と引き換えになると心得よ」 高らかな名乗りの後、芹沢は..
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鬼の章(85)「伊東殿、念のために御意向をお聞きしよう。先程の言の通り、御陵衛士の分離派共を粛清するために参られたと思って宜しいのか?それに土方。新撰組としてはどの様な意向でここに集まっておるのか?事と次第によって..
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鬼の章(84)一体何者なのか。そんな芹沢の疑問に答えるように、一人の男が進み出た。 「貴様」 歯噛みしながら血走った両眼で芹沢が睨み付けた相手。それは伊東甲子太郎だった。 時を同じくして、天狗党の包囲の..
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鬼の章(83)時間を掛ければ被害は拡大する。 だが、芹沢は強く、異刻人である芹沢の能力は常人を越えているという。 そんな男に、自分が勝てるのだろうか。 この場に駆け付ける前から、服部の心中にはそんな幾つもの思..
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鬼の章(82)芹沢が感じ取ったのは、それまでとは明らかに異なる気配だった。 次の瞬間、服部は猛烈な勢いで芹沢に斬りつけた。芹沢がその太刀を止められたのは、なかば運だった。反射的な反応で受け止めたものの、今までとは..
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鬼の章(81)芹沢がその気であったなら、服部の首は飛んでいた筈だった。今もなお、芹沢の気分一つで服部の首はたちまち寸断されていただろう。服部が退こうとしても、何らかの抵抗を示そうとしても、その前に芹沢の刀が服部の首..
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鬼の章(80)刀を正眼に構える服部に対して、芹沢は腕を組んだままだった。にもかかわらず、服部は巨大な刀の切っ先を喉元に突き付けられている感覚を覚えていた。 背筋を冷たいものが走る。だが、そんな緊迫感さえも今は心地..
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鬼の章(79)「これはしてやられたの」 芹沢の様子が変わった事に、その場の全員が気付いていた。そして天狗党の男達は勿論、腹心の仲間である平山、平間、野口でさえも、芹沢の様子に恐怖を感じていた。 藤堂もまた、芹沢..