記事「芹沢鴨」 の 検索結果 58 件
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鬼の章(78)その芹沢から見て、服部の言葉には嘘も偽りもなかった。それどころか、以前は感じた刻を越えた者が持つ気配が薄くなっているように感じる程だ。 その一方、刻という言葉を聞いて、反応した者がいた。藤堂平助..
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鬼の章(77)「これ程に厄介な相手である事を、敵に回して改めて思い知るとはな」 芹沢が言いながら進み出る。天狗党の男達が、自然に後退りすることで、服部と芹沢が正面から向き合う事になる。 「今からでも遅くはない。..
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鬼の章(76)もう一つが、包囲を抜けた筈の毛内が逃げずにその場に留まっていることだ。 仲間を逃がす、いわば殿となることは理解が出来る。だが、何時までも逃げる様子がない。一体どういうつもりなのか。 包囲に加わって..
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鬼の章(75)「そのまま走ってください」 毛内が声を上げる。加納と篠原、内海と阿部はそれぞれに走り出した。毛内一人がその場に踏み止まり、後を追いかけた男達を牽制する。 刀を手にしたまま、両手を広げるようにして構..
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鬼の章(73)幾つかの気勢と共に、男達が一斉に衛士に迫った。 衛士達も必死で抗うが、疲労の蓄積は顕著だった。 篠原が肩先を斬られ一歩退いた。横にいた加納が庇う間に刀を左手に持ち直すが、動きは大きく鈍ってしまう。..
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鬼の章(72)芹沢の言葉の意味するところをすぐに理解出来る者はいなかった。 「我々の、終焉?」 「一体、何の話だ?」 篠原、次いで阿部が声を上げた。 「歴史というものは実に興味深いものだな。今日という日も..
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鬼の章(71)最も、彼らの抵抗も時間の問題だと思われた。致命傷にこそ至っていないが、全員が少なくない手傷を負い始めている。 死闘を終わらせるための一押しをするために、芹沢は一歩進み出た。 「流石に、実力者揃いの..
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鬼の章(70)芹沢が言い終わるのを見届けて、平山が手を挙げた。その合図で周囲の男達が六人ににじり寄る。 「ざっと、五、六十人というところか」 「一人が十人斬れば良い。楽なものだ」 加納、続いて阿部が言った。強..
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鬼の章(69)「当たらずとも遠からず、というところかな」 芹沢が不敵な笑みと共に言った。 「さて、まんまとあぶり出された上に奇襲も失敗した訳だが。ここからどうするかね。見たところ、分離派だけの行動ではないようだ..
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鬼の章(68)気付くと、毛内と藤堂、加納と篠原も距離をつめて来ていた。同様に襲撃の好機と判断したためだ。 最早行くしかない。一同が視線を交わせる距離までつめるのと、全員の意志が固まるのは同時だった。6人は一斉に飛..
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鬼の章(67)酒席における伊東の発言は、衛士達もさすがに息を飲むものだった。芹沢に自分達を信用させるための方便だとは分かっているものの、やはりあそこまで断言されると一抹の不安を抱かざるを得ない。 だが、それも今と..
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鬼の章(66)加納や篠原にとっては、会談の場での伊東の発言は容認出きるものはなく、伊東からの離反に至った。 それが加納が考えた筋である。 京の市民感情も、既に京都天狗党から離れつつある。だが、在京の各藩は勿論の..