記事「ファンタジー」 の 検索結果 7089 件
-
マラメアの海賊・その9ファド族は点在するオアシスを拠点に、ウィンダミアの三分の一弱を占めるゴドー砂漠を遊牧して暮らす民だ。独立を求めてしばしば歴代の総首長に楯突き、周辺部族の村々を神出鬼没に略奪して回り、族長など代々、勝..
-
マラメアの海賊・その8「例えばの話だがな、ライ・ハーン。さらわれた子どもが呪術師を恐れ、怯える以上に・・・決して思い通りになるものかと、恨みを抱く事は考えられるか?何度逃げ出したところで、所詮小さな子どものこと。術を使って..
-
マラメアの海賊・その7ザカリアが振り返り、その読めない表情をふふんと見やった。 「ああ、ちょっとした手品ならもうやった。本人は都合よく忘れてるらしいが、ガッチリはまった鉄製の閂を、扉の外から弾き飛ばしてな。目撃者の証..
-
マラメアの海賊・その6珈琲の香りを楽しむようにゆっくり啜りながら、祈祷師は奇妙な目つきで見やった。背丈で数センチ、体の厚みもザカリアには劣るが、ライ・ハーンの体つきに他の術者のような貧弱さはない。氏素性、職業ともまるで違..
-
マラメアの海賊・その5「パディラの民の末裔なら昔、親父の領地に数家族が暮らしていたな。不吉な予言ばかり当たるだの、怪しげな治療を施しているだのと気味悪がられ、ひどく貧しい生活をしていたが・・・女たちは困った事があると、密か..
-
椿の根に抱かれて真っ赤な椿がポトリ、またポトリと、花首から地面に落ちる。春まだ浅い頃、鍛冶場のある家の裏手に植えられた椿の根もとは、降り積もる落花で毎年深紅に覆われた。2歳の一人娘を置いたまま、職人の妻が姿を消して..
-
マラメアの海賊・その4「ふん。光の波紋、きれいに響き合う、清流のようなときたか。耳に心地いい形容ばかりだが、だからって危険がないとは限らん。知りたいのはそれが・・・以前おまえの云っていた、失われた秘術かどうかだ。ライ・ハー..
-
マラメアの海賊・その3「あれがあなたの手紙にあった少年なのかな、ザカリア首長」 ソファに身を落ち着けるや、高名な祈祷師は云った。覆面を顎まで引き下し、四十前後と思しき精悍な顔を露わにする。日焼けした肌に顎鬚、鼻筋の通..
-
マラメアの海賊・その2小用を足して仲間のいる客室へ戻ろうとしたとき、少年は通路で、オスティスからの団体客がゾロゾロ出て行くところに出くわした。まわりを囲まれ、否応なしに押し流されて、誰かの胸に背中からぶつかる。 「あっ..
-
マラメアの海賊・その1ラドローは魔術師の国だ。ウィンダミアの南西に位置する陸続きの隣国だが、国境には大峡谷と湿地帯が横たわり、人口と都市の集中する南端部とは、国土のほとんどを占める広大な森林によって間を隔てられていた。そ..
-
カナン・その34生前愛用したものには持ち主の思いが宿っている、シタールも亡骸と一緒に焼いたほうが、後々の禍いを避けられましょう。祭司からそう進言されたにも関わらず、ザカリアは下らんの一言で撥ねつけた。もっともいつも..
-
カナン・その33もっともただ変人というだけで、誰一人興味すら抱かなかったとは奇妙な話だ。何か恐ろしいものを感じて無意識に押し留めたか、あるいは術をかけられていたかとも疑える。ザカリアはさらに、老婆の亡骸が火事で灰に..