記事「人生」 の 検索結果 25814 件
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短期連載小説 「緋瑠璃」 十四十四 身体全体が、ふわっと浮かんだ。 「いけない―――」 美紗はハンドルを固く握り締めた。 夜明けを過ぎた高速道路に、車は殆ど走っていなかった。 薄い灰色に包まれた真っ直ぐな車道を、..
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短期連載小説 「緋瑠璃」 十三十三 「美紗、おめでとう」 高校時代の友人たちが、楽しげな顔を浮かべて美紗を出迎えた。 青空に舞ったライスシャワーが眩しい光を浴びて、美紗の上に降り注いだ。 純白のウェディングドレスを着..
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短期連載小説 「緋瑠璃」 十二十二 午後一時を過ぎた食堂は、人もまばらになっていた。 吹き抜けとなった高い天井から、午後の光が差してくる。コンクリートの壁は、斜め半分上が、白く光っている。日陰の壁の下で、矢川は美紗と向かい..
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短期連載小説 「緋瑠璃」 十一十一 美紗は居間のドアを開けた。 ソファーでは、灰色の寝間着を着た敏弘が胡坐(あぐら)をかいていた。 テレビはお笑い芸人の姿を映し出し、割れんばかりの笑い声を発していた。 「遅かったね」..
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短期連載小説 「緋瑠璃」 十十 「えっ―――」 美紗は矢川を押しのけた。暗闇に光る矢川の目は、鋭く美紗を捕らえていた。 展望台の手すりは、月の光でほの白く浮かび上がっていた。満天に広がる帷(とばり)の下、白や赤の光で埋..
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短期連載小説 「緋瑠璃」 九九 澄み渡るような青い空。地平線近くはほの白く、上を向くほど、くっきりとした冴えのある青となる。 冬になると、空の青さが鮮烈に感じられる。凛と張った空気というのだろうか。そういう澄み切った大気..
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短期連載小説 「緋瑠璃」 八八 「10:00」 数字が冷たい光を放っていた。淡い赤光に覆われた室内で、光る数字は浮いているように見えた。 身体を起こした美紗は、その数字を見つめた。いや、見つめざるを得なかった。数字の光..
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短期連載小説 「緋瑠璃」 七七 暗い闇に、オレンジ色の小さな光が、いくつも並んでいる。光はいくつも連なって列を成し、暗闇の奥へ果てしなく続いている。その光が一つずつ、徐々にこちらに近づいてきたかと思うと、突然大きな光の塊とな..
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短期連載小説 「緋瑠璃」 六六 コンクリートに囲まれた部屋は、蛍光灯で眩しい白に光っていた。 両側にうず高く詰まれた書類に挟まれて、矢川はパソコンのキーを叩き続けていた。 最後のキーを叩くと、表計算シートのセルで作ら..
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短期連載小説 「緋瑠璃」 五五 「あれ―――」 クローゼットの引き出しを開けた前で、美紗は床にぺたりと腰を下ろし、引き出しの中を手で探っていた。 「おかしい。確かこの辺りに入れたはずなんだけど―――」 美紗が探してい..
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短期連載小説 「緋瑠璃」 四四 美紗は机の上で、ノートパソコンの画面を見ながらキーを叩いていた。 今日の美紗は黒のツインセーターを着ていた。大きく開いた襟口から、首のまわりの白い肌が見えていた。そこにアッシュブラウンの髪..
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短期連載小説 「緋瑠璃」 三三 激しくタイルに飛沫をあげる音が、閉じた室内に響いた。 オレンジ色の靄の中で、美紗は細身の身体を無数の線条にさらしていた。 クリップで纏め上げられた髪の下で、細い後れ毛に微細な水滴がつい..