記事「小説家」 の 検索結果 985 件
-
五章 多すぎる見舞い客 続き一夜明け、麟児の元に隆から電話があった。今日の昼過ぎに見舞いに来る、と言うのだ。 遠路はるばるご苦労な事だと思ったが、土産にいい話を持っていくと言っていた。どんな話だかは分からないが、あまり期待..
-
ばらのまち福山ミステリー文学新人賞「玻璃の家」 発売第1回(2008年)ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を 受賞した『玻璃の家』が単行本になりました。 初めての回の受賞ですから、賞のレベルを知るためにも 応募される方は目を通して参考にしてく..
-
五章 多すぎる見舞い客 続き天藍公主は、彼女らしからぬ表情で、それを眺めていた。桔梗荘の一室、ベットの上である。 掌に乗せたそれは、隆から渡された翡翠の指輪である。 返そう。天藍は、そう思う。しかし思うたび、内心に去来す..
-
五章 多すぎる見舞い客著名人も多く住む高級住宅街として知られている中州区、小金台。 社会を底辺で支える大多数の人間の手には届かない、庭付きの瀟洒(しょうしゃ)な邸宅が、それぞれ独立するように立ち並んでいた。 予..
-
四章 不協和音 続き臨海公園からでも、臨海スクエアの崩壊ははっきりと目撃できた。かつては、この公園の景観の一部となっていた超高層ビルの無残な最期に、公園じゅうの人々の視線が集中した。お陰で、その片隅に止まっていたバン..
-
四章 不協和音 続き戦いは紂王と麟児の間だけで交えられたのではなかった。 仮面の剣士が主君に斬りかかるのを、聞太師は見逃すつもりはなかった。だが、そこへ水界の老将が踊りかかったのだ。 黄河陣の呪縛から解放され..
-
横溝正史ミステリ大賞 選評第29回(2008年)横溝正史ミステリ大賞の選評を掲載した 「野性時代」2009年4月号が発売されました。 今年応募される方は参考に読んでおくといいでしょう。 優秀賞を受賞した福田政雄さ..
-
四章 不協和音 続く一瞬で全精気を吸い取ってくれる。そうすれば、自分は完全に回復できる。そうすれば、激昂した孺子など恐ろしくは無い。 復活した魔女が目論見を実践しようとした瞬間、空間が歪んだ。壁のあるべき空間が揺ら..
-
四章 不協和音 続き黒髪が麟児に肉する。しかし、麟児の頚骨が砕ける感触は伝わらなかった。最初の一手がかわされたのは偶然と思えた。次の一手がかわされたのは、自分の激情が狙いを狂わせている、と考えた。だが、三手目をかわし..
-
四章 不協和音 続きパニックに逃げ惑う人々をかき分けるようにして非常階段を駆け上がった二人の前に現れたのは、頭の配線がショートした黒服の男たち――玉梓の私兵たちだった。拳銃を盛大に乱射して二人の進撃を妨害していた。 ..
-
城山三郎経済小説大賞「ロロ・ジョングランの歌声』 発売第1回(2008年)城山三郎経済小説大賞を受賞した 『ロロ・ジョングランの歌声』が単行本になりました。 『ロロ・ジョングランの歌声』 松村美香 amazon.co.jpの詳細ペー..
-
四章 不協和音 続き「これはどういうことじゃ!?」 玉梓御前は携帯電話に怒鳴り散らしていた。むろん彼女は、無粋なこの機械への不快感をぶつけているわけではない。 「この地震は何事か。なぜ妾に断りもなく要石を砕いた!..