記事「小説」 の 検索結果 36259 件
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第58話 自由への疾走-22気持ちがこうと定まるとガブリエルはすぐさまマテューに会いに行った。 マテューは家の横に据え付けた小さな炉にふいごで火をおこしているところであった。彼の額には汗がにじんでいた。 「お、ガブ。」 ..
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第58話 自由への疾走-21「そろそろ中で一服しようか。」 そう言ってガブリエルは飲み物を作り始めた。 「さっきの葉っぱを乾かしておいたのをこうしてお湯で煮出すんだよ。」 ガブリエルが持ってきた飲み物は大人たちには大..
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第58話 自由への疾走-20「なんてことを言うの、アントワーヌ。」 「だって、お母さまはそんな言い方絶対にしないでしょ。」 シャルロットはそう言われると言葉に詰まった。 「なんとも生意気な子だねえ。たしかにあたしは乱暴な..
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第58話 自由への疾走-19ガブリエルは夕食を作ると二階にいるディマンシュに声をかけた。彼は男の姿に戻って降りてきた。そして、食卓に着き、食前の祈りを捧げてから食べ始めた。 『静かだね…。無口なディマンシュってのは、ちょっと..
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第58話 自由への疾走-18その時、階段の方から大きな物音がした。 「何だ?」 二人が階段の下に行ってみると、そこに女が倒れていた。 「おやまあ、たいへん。!」 しかし、女はすぐに身体を起こした。 「大丈夫よ。あ..
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第58話 自由への疾走-17「やあ、元気かい?」 挨拶をして家の中に入ってきたマテューは、普段はさほど身なりに気を遣わない方であったが、この日はなぜかきちんとした服を着ていた。 「やあ、マテュー、相変わらずさ。」 「そ、..
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第58話 自由への疾走-16ガブリエルの家はマテューのおかげですっかり見違えるようになっていた。二階が増築され、元の家より広くなっていたのだった。これはアルが無事に戻って来てまたシャルロットと暮らすことになるはずだという希望を..
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第58話 自由への疾走-15「シャルロット様、またあの牢獄を訪れるおつもりですか。」 侍女が情けなさそうに言うのに、シャルロットは平然と答えた。 「ええ、もちろんよ。」 「わたしは反対でございます。あのような恐ろしいとこ..
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第58話 自由への疾走-14カユザックはマゼルの独房の前にシャルロットたちを案内した。 「マゼル、面会だ。」 しかし、マゼルは壁の奥を向いたまま振り向きもしなかった。カユザックは声を荒げた。 「こらっ、こっちを向かんか..
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第58話 自由への疾走-13他の手紙が厳めしい封蝋で閉じられた厚手の封筒に入っているのに比して、その一通だけは艶やかな透かし模様の入った封筒に入っており、しかも差出人は女の名前であった。美しく軽やかな筆致で書かれたその署名から..
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第58話 自由への疾走-12リヴェールはカユザックが質問を発しないのを見ると自分から答えだした。 「私がマゼルの助命を願い出た理由は、彼の魂の救済と負債の返済だ。」 「は…、意味がよくわかりませぬが…。」 『マゼルに借金..
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第58話 自由への疾走-11カユザックは新しい執務室の椅子に深々と座り、感慨深げにつぶやいた。 「まあ、座り心地は悪くはない。」 彼の頭はこの椅子をいかに守り抜くか、そして、できうるならさらに座り心地のいい椅子をどうやっ..