記事「小説」 の 検索結果 36262 件
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第10話 イソップの言葉―7そう言われてディマンシュは筆を手にとるとすらすらと書いて見せた。何の線も引いていない真っ白な紙の上に、文字の列がまっすぐ並んで行った。行と行の間隔はまるで定規で測ったように同じであり、mやnなどの縦..
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第10話 イソップの言葉―6アルは観念して紙と筆を手にした。しかし、今まで手紙を書いたことも、もらったこともないアルにとっては、近況を知らせる手紙一枚書くだけでもひどく気の重い大事業のように感じられ、筆を墨壷に入れたり出したり..
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第10話 イソップの言葉―5「でも、なんでおれが書かなきゃいけないんだい。兄貴が言い出したことなのに。」 「君の事なんだから、君が書くのが筋というものだ。」 「手紙なんか書かなくたって、直接会いに行けばいいじゃないか。また修..
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第10話 イソップの言葉―4「だったら、その誤解を解く必要がありますね。」 ディマンシュが言った。 「そう、そうだとも、あたしも同じことを考えてたんだよ。あの子は別にアルに何もひどいことなんかしていないっていうのに、いった..
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第10話 イソップの言葉―3「アルまで読書派になったのはいいけれど、おまえたち、肝心のことを忘れてやしないかい。」 ガブリエルにそう言われて、二人は顔を見合わせた。 「その本を持ってきてくれたのは、誰だと思ってるんだね。」..
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第10話 イソップの言葉―2「でも、これ本当に、ギリシャ一賢い人が書いたの? それにしては、易し過ぎるような気がするんだけれど。」 「アル、本当に賢い人というのは、難しい事柄をわかりやすく語れる人のことなんだ。そういう意味では..
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第10話 イソップの言葉―1これまでのあらすじ カトリックの貴族の娘シャルロットは、ユグノーの青年、ディマンシュに恋をするが、ディマンシュの従弟アルは彼女に恋心を抱いており、ディマンシュは彼の後押しをしようと考える。 彼..
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第9話 口づけの記憶―29さんざん家捜しをした挙句、結局のところ、その本はガブリエルが持っていたことが判明した。 「アルの様子がおかしかった時だったからね、なくさないようにあたしが預かっておいたのさ。」 二人が非難がま..
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第9話 口づけの記憶―28「兄貴、だからもう大丈夫だって、言ってるだろう。」 アルはディマンシュの長い抱擁から身を引き離した。ディマンシュはうつむいて自分の両のまぶたを指でそっとこすると、満足げな微笑を浮かべてこう言った。..
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第9話 口づけの記憶―27「おれ、そのことを思い出すと、自分が汚くて汚くて…。シャルロットはあんなにかわいくてきれいなのに…。」 ディマンシュは今度はうなずきもせず黙って聞いていた。 「おれが馬鹿だったってことはわかって..
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第9話 口づけの記憶―26食事が終わった後、いつものように、皆で後片付けをしていると、アルは不思議な気持ちに襲われた。さっきかすかに聞こえた誰かの声が、今度は頭の中に直接はっきりと響いてきた。そして、その声の導きで、胸の奥で..
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第9話 口づけの記憶―25ガブリエルは、今度はアルの方に向き直っていった。 「アル、おまえ、リュックじいさんに診てもらったほうがいいんじゃないかい。やっぱりどこか具合が悪いんだよ。ディマンシュもそれを心配してるんじゃないの..