記事「海外文学」 の 検索結果 164 件
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『ツァラトゥストラ』 ニーチェ生の舞踏。 異なる翻訳で再読。1881年、スイスのシルス・マリアに滞在していたニーチェは、シルヴァプラーナ湖畔の森を散策中に「永遠回帰」の啓示を受ける。本作はその告知を主題に据えて執筆された(全..
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『ヒュペーリオン』 ヘルダーリン生の勝利。 新訳で再読。18世紀末のギリシア。ティーナに生まれた青年ヒュペーリオンは、よき師、よき友とめぐり会うが、その両方をわけあって失う。傷心の彼を癒してくれたのはカラウレアの乙女ディオティ..
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『チリの地震』 ハインリヒ・フォン・クライスト反親和力。 再読。短篇小説6篇とエッセイ2篇を収録する。表題作は1647年にチリで発生したサンチャゴ沖地震を背景に、人間の親和の不可能性を暴き出す。互いを想い合う若い男女がいて、けれども親に許さ..
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『カフカ寓話集』 池内紀編訳寓意の問題。 本書には全部で30の短篇が収録されている。このうち比較的有名なのは「巣穴」「断食芸人」「歌姫ヨゼフィーネ、あるいは二十日鼠族」だろうか。「巣穴」は「カフカ的」といわれるような不安が..
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『カフカ短篇集』 池内紀編訳可笑しなカフカ。 再読。カフカは可笑しい、そのことを教えてくれた池内紀訳のカフカ。管理人にとってカフカ発見の本であり思い出深い。彼の文学の特徴は短篇にこそ顕著だと思う。シュールさ、とぼけ、ユーモ..
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『長編小説と散文集』 ローベルト・ヴァルザー小さき者へ。 「ローベルト・ヴァルザー作品集」の3巻。「ヤーコプ・フォン・グンテン」と「フリッツ・コハーの作文集」の二篇を収録する。 「ヤーコプ・フォン・グンテン」の語り手ヤーコプ少年は「..
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『ヴァルザーの詩と小品』 飯吉光夫編訳恍惚と不安。 再読。ローベルト・ヴァルザーの詩と散文小品を、彼の兄カールの挿絵付きで紹介する。 ヴァルザーの小説にも登場する兄カール・ヴァルザーとはいかなる人物だったか。彼はローベルトより..
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『パウル・ツェラン詩文集』 飯吉光夫 編・訳まだ歌える歌がある。 再読。編訳者による著書『パウル・ツェラン ことばの光跡』を読めばどうしてもツェランの詩を読みたくなる。彼の詩は暗く、痛みを誘い、独白のようで、読むのに集中力を求められるため..
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『名づけえぬもの』 サミュエル・ベケットまだ終わらぬために。 見渡す限り真っ暗な空間に語り手はいる。ここはどこなのか。現実なのか夢なのか死後の世界なのか。彼によると、自分には頭があるとは思えない、口も目もあるとは感じない(なのに真っ暗..
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『マロウンは死ぬ』 サミュエル・ベケット死の床に横たわりて。 本作は、間もない死を予感しているマロウンという老人がどこともわからぬ部屋で書いている手記の結構になっている。彼はノートに三種類のことを書く。現在の自分の状況と、財産目録と、..
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『モロイ』 サミュエル・ベケット果てしない物語。 再読。2部構成になっている。1部はモロイという足の不自由な老人が語る。記憶力が欠ける彼の語りはとりとめない。いつか溝に落ちてはまりこんだのだがどうやら誰かに助けられて、いまは死..
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『ゴドーを待ちながら』 サミュエル・ベケット明日は、明日こそは。 夕暮れの田舎道、一本の木の下に二人の浮浪者、エストラゴンとヴラジーミルが立っている。彼らは待っていた。今日、ここに来る約束になっているゴドーという人物を。丸一日を待つのに費..