記事「現代的」 の 検索結果 45 件
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終章 今後ともよろしく、緑竜白鴉「よう、元気かスズムシ。」 夕暮れ時の駅前公園に愛車(KATANA)で乗りつけた葛城麟児は、真堂隆にそう言ってからかった。 「……お前なんか、もうちょっと家で寝てれば良かったんだ。」 眉をし..
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八章 不協和音の共鳴 続き自分が放った稲妻にも迫る速度で、竜神は急降下する。その空の左前肢が、彼を掬い取ろうと伸びた。麟児の手もその爪を掴もうと伸びる。 間一髪、届かなかった。竜神も剣士の間の、ほんのわずかな、だけど..
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八章 不協和音の共鳴 続き人間体であったときのように雄叫びを上げながら、玄武が突撃した。その短い四肢からは想像も出来ない速度で巨人に突進し、己の五体そのものを砲弾として叩き付けた。 巨人もその体躯と五本の腕で、神亀の体当..
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八章 不協和音の共鳴玄武は何か言いたげに朱雀の旋回する方向を見上げた。だが、すぐに天藍の指示に従った。巨人から距離を取り直し、今度は海に深く潜る。 「これで津波の方は何とかなる。その代わり、翠鱗どのの負担は倍増した..
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八章 不協和音の共鳴 続き竜神は頼りにならぬ、と判断したわけではないだろうが、次に動いたのは玄武であった。四本の太く短い足を動かしてその巨体を後退させ、陸地から海に移動して潜り込んだ。それは逃走のためでなく、自分の攻撃の準..
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八章 不協和音の共鳴 続き結論から言えば、眼鏡の司書教諭は正しかった。葛城麟児は朱雀の上で、その原因の一端である三面六臂の巨人と対峙していた。 巨人には、三体の霊獣に包囲されているという恐怖は微塵も感じられない。その..
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七章 三原山の決闘火口から、まるで懸垂でもするかのように全高二〇メートルは下らないだろう巨体を現した六本腕の巨人が姿を現した。 だが、その表情は、天地に生きる全ての存在を憎悪し、そして殺戮せんと欲する表情に歪みき..
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七章 三原山の決闘 続き一瞬の五感の消失を先触れに、強烈な眩暈と不快感が麟児を襲った。 涙に滲む麟児の視界が、いやに朱かった。それが朱雀の羽根であると気付いたとき、遅かったな、とでも言いたげに霊鳥がひとつ鳴いた。 ..
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七章 三原山の決闘 続きその瞬間を目撃したのは、隆だけではなかった。 天藍公主と亀老が踊りこんだ瞬間、その業は振るわれた。 魔剣を振り下ろした姿勢の紂王の豪腕の間から、霊刀の白刃が延びている。その白刃に抉られた傷口か..
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七章 三原山の決闘 続き玄武錘と金鞭が、人の領域を遥かに超えた剛力で百合交えたところで同時に砕け散った。その破片が地に落ちるより早く、二人の老将は徒手による絶技を繰り出しあった。 聞太師の掌法(しょうほう)が、周囲が凶..
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七章 三原山の決闘 続き竜種の眼でも見通せないほどの闇をかき分けるようにしながら、真堂隆は、大地を穿つ回廊を走っていた。 隆の脳裏に、麟児が見せる様々な表情が浮かんでいる。 憎たらしい驕慢な表情、癇癪を起こした表情、..
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七章 三原山の決闘 続き目標を見失った金鞭が大地を穿ち、体勢が崩れた聞仲に、亀老の鴛鴦脚が襲い掛かった。破城槌の如き両足から顔面を庇うべく咄嗟に聞仲は両腕が交差させた。左右両足からの衝撃を受け、聞仲の身体は霊獣の鞍から吹..