記事「現代的」 の 検索結果 45 件
-
七章 三原山の決闘 続きしかし、その着地点にいる邪仙将の一人が動いた。魔家四将の末弟、魔礼寿は握っていた槍を放り出し、腰に結びつけていた豹皮の紐を引いた。その袋から飛び出したのは、背に翼を持つ白い巨大な豹であった。魔礼寿..
-
七章 三原山の決闘 続き敵陣への橋頭堡らしきものを確保し、当座の安全を確認した隆が地面に降りた時点で、朱雀は巨体を上昇させた。上空から、屍鬼兵を牽制してくれるようだった。 いま、麟児たちの周囲には、熱湯の壁がそそり..
-
七章 三原山の決闘「一人は水界の老将、一人は敖家の者、あの天女めも腕に覚えはあろう。いずれも、侮ってよい相手とは思えぬ。それに、あの人間も……。」 あの人間の孺子の苛烈な剣筋を思い返すたびに、亡者と成り果てた..
-
七章 三原山の決闘「陛下。」 聞仲からの呼びかけに、王座に座した紂王が瞳を開いた。血塗られた鋭い刃の如きその双眸が、跪く(ひざまずく)己の忠臣を捉えた。その全身は、札(さね)を重ね合わせた甲冑と、黒い龍袍に包..
-
六章 共鳴のはじまり 続き古都K市に近い山麓部、富豪の別荘が立ち並ぶ一画へ、唐沢竜介は愛車を走らせていた。台風の影響で、到着予定時刻からは少々遅れているが、それも気にならないくらい彼は上機嫌だった。脳裏で、今後のスケジュー..
-
六章 共鳴のはじまり 続き「案ずるな、老将軍。貴殿たちを死に兵扱いするつもりはないさ。その証に、これを用意してきた。」 そう言って赤城は、スーツのポケットから壺を取り出した。太上老君から受け取った、例の壺であった。 ..
-
六章 共鳴のはじまり黙って自分の言葉を待っている赤城に隠し事が通用しないのは、今までの経験で理解していたし、何より、天藍に、敖翠鱗という存在、その起源(ルーツ)を知って欲しかった。 「俺がこの世界に来たのは逃げる為..
-
六章 共鳴のはじまり夕刻、雨風はいよいよ激しさを増していた。 一年のうちでも最も日の長い時期であるにも関わらず、すでに周囲は墨を刷いたような闇に包まれている。 海郷港の一画にある倉庫街も例外ではない。その倉庫の一..
-
間章?U 続き老人への畏敬の念と共に、赤城は現在までの状況を説明した。 「目下、事態はかの賊の思惑通りに進行していると考えられます。饕餮(とうてつ)と玉梓なる妖婦の跳梁により、この街の要石は全て外され..
-
間章・Ⅱ街じゅうを見下ろせる高台の公園に、その男はいた。傍らに駐車してある赤いスポーツカーに軽く腰掛けるように、下界を睥睨(へいげい)している。 色の濃いサングラス越しの視線が捉えているのは、臨海ス..
-
五章 多すぎる見舞い客 続きその切り札を神妙に押し頂き、麟児は答えた。 「――俺も戦線復帰しようと思ってね。」 「馬鹿を申すでないわ!」 窓の外の声が、荒くなった。 「若や公主のお言葉を聞いてなかったのか!?あの..
-
五章 多すぎる見舞い客 続き「そうだよな。あいつにも日常があるんだよなぁ。」 桔梗荘に戻る地下鉄の中、隆がぽつんと言った。地下鉄の壁は暗く、対面のガラスには並んで座る天藍と隆が映っている。 「帰る家があって、学校に行..