記事「現代美術」 の 検索結果 572 件
-
MOTアニュアル展と国立新美でのアーティスト・ファイル2010を観ました沈丁の 香を吐きつくし 在りしかな (松本 たかし) 沈丁花はあの強い香りで、この季節しっかりと存在感を示します。それを「香を吐きつくし」と表わしたところが秀逸でしょう。この俳人..
-
レベッカ・ホルン展再訪、やっぱりブラボー!+ケイタケイ・ダンス公演はあまりに前時代的たまさかに 据え風呂焚くや 冬の雨 (夏目 漱石) 「据え風呂」は風呂桶に焚き口を取り付けたもの。昔の家風呂は、五右衛門風呂などがそうですが焚き口は別に設けてありました。この句などさ..
-
黒田育世ダンスは飴屋法水の構成でした+アリストテレスの「霊魂論」とアガンベンの『思考の潜勢力』凍蝶(いてちょう)の きりきりのぼる 虚空かな (橋本 多佳子) 寒気に凍えた蝶が一羽、冬空の高みに「きりきり」と飛翔していく、という情景でしょうが、真冬に蝶が現れることはありえ..
-
横浜美では束芋展+横須賀美では白髪一雄展+クィーン+P・ロジャース公演雪の日や 火燵(こたつ)をすべる 土佐日記 (夏目 漱石) 雪がしんしんと降る日には掘りごたつに暖まっての読書です。漱石先生、この日の読書は紀貫之の「土佐日記」でしたか。漱石と「土佐日記..
-
與門会は長谷川郁夫『堀口大学』刊行記念+吉祥寺PARADAでは狩野志歩映像作品「窓の部屋」満月の 枯木ごもりや 年の暮 (石田 波郷) 前回に引き続き波郷の句集『酒中花』から一句です。冬の夜空をふと見上げると、裸木の枝の間に満月がかかっています。「あー、こうして今年もお..
-
モレキュラー・シアター公演「マウスト」+KARAS・佐東利穂子のステージ「SHE彼女」を観ました機影去り 直視為し得る 冬日あり (中村 草田男) 冬の空を飛行機が飛んで去っていきました。すると、青空の高いところに冬の太陽が輝くのに気づきます。この句の読者の眼に飛び込むのは..
-
都現美ではレベッカ・ホルン(凄い!)と岡崎乾二郎展+東博では「皇室の名宝」展、若冲が君臨します秋晴や キリリと叫ぶ 紅(べに)いんこ (富安 風生) 澄んだ秋の空気を震わせて、インコの鋭い叫び声が響きます。どこかモダンな印象の一句です。「的確な写生の中に繊細な情感を表現、艶のあ..
-
水戸でのボイス展は今月末から+仙川TAMでは楢橋朝子写真展+『オマージュ津田新吾』笑はざりし ひと日の終り 葡萄食ふ (西東 三鬼) 三鬼といえば「新興俳句」とか、官憲の弾圧を受けた「京大俳句事件」とかいう言葉が付きまといますが、都市生活者の屈折した心理も巧みに..
-
トヨダヒトシのスライドショーは横須賀美術館の芝生にて+可能涼介の批評集『圧縮批評宣言』ああ蜩(ひぐらし) わが念ふとき こゑおこる (加藤 楸邨) 蜩があの哀感を帯びたカナカナ、カナカナという声で鳴くのは晩夏の風物詩です。いや、あの木管楽器のような音色はまさに詩情..
-
仙川で若林奮さんの版画展+詩人・三木露風の墓と三鷹周辺の古代遺跡群緑陰に 三人の老婆 わらへりき (西東 三鬼) 季語の「緑陰」は、明るい初夏の日射しのなかの緑したたる木陰を言いますから、ちょっとモダンでシャレた雰囲気を醸すもの。それが現代俳句の開拓..
-
オペラシティギャラリーの鴻池朋子展は圧巻!+盛岡の巨石文化と折口信夫の霊魂論洗ひ髪 月明(げつみょう) 暁(あかつき)にまで及ぶ (橋本 多佳子) 真夏の深夜、女人が豊かな髪を洗っています。夜空にはちょうど月が明るく輝き、光を室内に注ぎいれます。その月光に酔..
-
瀧口修造講演の録音を聴きました。感銘深し。+ピナ・バウシュ急逝夕釣や 蛇のひきゆく 水脈(みお)あかり (芝 不器男) 夕暮れ時、川で釣り糸を垂れていると何かが川面を動く気配。おや、蛇がからだをくねらせて泳いでいます。蛇の泳ぎというのはそれ自..