記事「ファンタジー」 の 検索結果 7089 件
-
金色の花びらが舞い散る下で・19話の途切れた間隙にスウスウと、いかにも安らかな寝息が聞こえてきた。うつ伏せの姿勢がまずかったのか、それとも大きな体から伝わる温もりや、呼吸にゆったり上下する揺れが心地よかったのだろうか。二人が気づか..
-
マラメアの海賊・その52ドッと愉しげな笑い声が起こり、うちの見習いを舐めちゃいかんからなぁだの、活きのいい仔犬が噛みつくみたいだったのと、各々好き勝手な事を云う。一頻りそうした感想が続いた後、一人が大真面目な顔で呟いた。 ..
-
金色の花びらが舞い散る下で・18ザカリアの兄には国に残って、母親が嫁いだ部族の長を継ぐ義務があった。その結果が何者かの手による暗殺だ。犯人は未だに知れず、故国を離れて十七年を経た今も、跡目争いの決着はついていない。ウィンダミア総首..
-
マラメアの海賊・その51目をしばたたくばかりで声もない少年をよそに、まわりからは半ば面白がるような、好奇に満ちたざわめきが起こった。肘で隣りの者を意味ありげにつついたり、にやけた顔でアスールを覗き込む者もいる。サィードは一..
-
金色の花びらが舞い散る下で・17「・・・何か悪い知らせ?国から届いたんでしょ?」 心配げに曇らせた面を、ザカリアが視線だけで見やった。 「なぜそう思う?チビの云う事を真に受けたのか」 「でもアスールには、淋しいのがわか..
-
マラメアの海賊・その50「縦帆が使えなくても航行できますが、レサス港へ無事辿り着くには、とりあえず船腹と甲板の穴を塞がなければならないでしょう。現在ボートで行方不明者を捜索すると同時に、使えそうな部材を漂流物の中から拾い上げ..
-
金色の花びらが舞い散る下で・16「ふん、本気で噛み付くとでも思ったか?」ザカリアがせせら笑う。 兄の両腕に後ろから抱えられ、アスールはぽかんとしたままだ。 「でも餌にしようと思ったでしょ?きれいな魚が釣れそうだって・・・」..
-
マラメアの海賊・その49かくて西大陸の海を荒らしまわり、その赤い縦帆を見た者は凶運が降りかかると恐れられた海賊船も、赤鬼ヴァザラックの亡骸とともに海の藻屑と消えた。後にはところどころ炎のくすぶる、大小無数の残骸や破片、船内..
-
霧のセイレーン(24)あっという間に森の小道との合流点へ達し、なお駆けたがる愛馬に、彼はそう声をかけながら手綱を引き絞った。畑との境界にもなっている潅木の茂みをゆっくりと回らせ、肩越しに庵のほうを振り返ると、ゲルダは名残..
-
霧のセイレーン(23)やれやれ、やはりダメだったか。色気なんか振りまいても、あたしにそんな手は通じないよという目で見られ、デーモンは仕方なしに苦笑した。それからゲルダが指差した場所へ視線を向け、温くなり始めた微風にその黒..
-
マラメアの海賊・その48その最期をただ呆然と、波間に漂う船員や海賊が見送っていた。帆の引きちぎれたフォアマストが傾ぎ、ボロボロの船首部分が高く持ち上がったかと思うと、のたうつように海中へ没していく様を。苦しげに咳き込んでい..
-
霧のセイレーン(22)「おや、あたしがいつそんな事を云ったんだい?確か約束はしなかったと思うけどね。きっとあんたの思い違いだろう」 「呆れたもんだ。魔女ともあろう者がしれっとした顔で、よくまあそんな見え透いた事を・・・。..