記事「入国管理局」 の 検索結果 729 件
-
敢えて火中の(第七十七回) 第十六章 明かされた真相(2)俺は最近になって続けて連絡して来た、二人の人物の話を思い出していた。 一人は新宿で摘発に従事している入国警備官だ。 小柄な身体に十分なパワーと新たな技術にも精通した、年こそ若いが優秀な入国警..
-
敢えて火中の(第七十六回) 第十六章 明かされた真相(1)続いて村木弁護士が、事件が発覚した後のことに付いて、質問を引き継いだ。 「平成十三年六月、その過去の逃走事件が発覚し、入管内部、法務省と調査が行なわれたわけですが、最初に発覚した事実を突き付けられ..
-
敢えて火中の(第七十五回) 第十五章 暴かれる人間性(2)入管はこの不服申し立ての審問に、本省の西検事を当ててきていた。 その上で沼田を証人として、呼んだということは本格的に攻勢を掛ける意思を示したのだった。 沼田はそれまでの態度を一変して、はきは..
-
敢えて火中の(第七十四回) 第十五章 暴かれる人間性(1)その日、弁護士事務所には、沈鬱な空気が流れていた。 「九鬼さん.。必ず執行猶予は付くと思いますが、有罪判決は免れないと思われますので、人事院の不服申し立てを取り下げようかと思うのですが」 公用..
-
敢えて火中の(第七十三回) 第十四章 悪夢の続き(3)最後に稲山の弁護士が、甲高い声で俺に質問した。 法廷内で声を心地よく響かせるには、声の質とともに音の大きさや、発音にも気をつけるのだと、以前に検察官から聞いたことがあった。 稲山の雇った弁護..
-
敢えて火中の(第七十二回) 第十四章 悪夢の続き(2)続いて玉田弁護士が俺に質問をする。 「九鬼さんは当日の摘発に於いて、主管班長であったということで、監督責任を問われていますが、島田さんが担当していた取り調べ中の中国人が逃げたことについてまでの、こ..
-
敢えて火中の(第七十一回) 第十四章 悪夢の続き(1)待合室の中には、妻と俺の他に、証人として証言してくれる河合や出向で香港に行っている植田、新宿で連日連夜の摘発業務の合間を縫って来てくれた古川など、多くの友人が俺の公判に駆けつけてくれていた。 俺..
-
敢えて火中の(第七十回) 第十三章 公判開廷(4)浦和駅は大宮駅に比べて西口も東口も、県庁を懐に抱えているわりには、駅前の貧相な感じは否めなかった 駅前の喫茶店で、俺は林田と待ち合わせることにした。 約束の時間ちょうどに小柄な林田は、昨年の..
-
敢えて火中の(第六十九回) 第十三章 公判開廷(3)その日の朝、いつもは大人しい『ムサシ』が騒いでいるのに気づいて、俺は目を覚ますと階下に降りて行った。 新聞を取りに玄関を出た俺に、やたらに興奮した『ムサシ』が纏わり付いてくる。 新聞受けの中..
-
敢えて火中の(第六十八回) 第十三章 公判開廷(2)六月二十日、午前十時、東京地方裁判所、第五一五号法廷は、裁判官の開廷の合図を待って、公判が開始された。 検察官の起訴状朗読、証拠の採用、起訴事実の認否と続き、その日は稲山の妻が、情状証人として証..
-
敢えて火中の(第六十七回) 第十三章 公判開廷(1)村木弁護士は、四月から何度となく打ち合わせをする中で、場合によっては分離公判となるかも知れないが、言いたい放題の裁判にさせないためにも、こちらとしては合同でやってもらいたいと申し入れていると言ってい..
-
敢えて火中の(第六十六回) 第十二章 火中の栗(3)どう考えても、あの当時責任を被らなければならないのは、俺ではなかった。 勿論、逃走した中国人を追跡したならば、摘発月間を予定どおりに消化することはできなかっただろうし、それは俺にとっても苦渋の選..