記事「入国管理局」 の 検索結果 729 件
-
敢えて火中の(第六十五回) 第十二章 火中の栗(2)「稲山さんの供述調書は、三月十一日付が一番古い調書ですよね。 逮捕される前の調書が、俺のものはあるのに稲山さんのものは証拠として提出されていないのは、どう考えれば良いのでしょうか」 「昨年六月の..
-
敢えて火中の(第六十四回) 第十二章 火中の栗(1)供述調書を読んでいて、何度読まなければよかったと思ったか知れなかった。 しかし法廷できちんとした裁判を受けるためには、必ず通らなければならない作業なのだと言われて、検察官から証拠として提出された..
-
敢えて火中の(第六十三回) 第十一章 供述調書(4)『逃走した事実については、私も承知しておりましたが、その後の措置については稲山さんと九鬼班長が相談して決めたようで、私には稲山さんから削除して無かったことにしたからとしか聞かされておらず、私としては課..
-
敢えて火中の(第六十二回) 第十一章 供述調書(3)『入国管理局は違反事件を全て立件することになっており、今回の場合、被摘発者名簿を作成した段階で、立件したものと思われる。 一度立件したものを削除するということは通常しないし、間違って番号をとった場..
-
敢えて火中の(第六十一回) 第十一章 供述調書(2)逃走事件の始まりである緩慢な違反調査をしていた島田は、自分のしたことについて、予想通りの他人事のような供述をしていた。 『身柄を監視しなければならないのは、取り調べに当たっている私一人に負わされて..
-
敢えて火中の(第六十回) 第十一章 供述調書(1)不服申し立てが受理されたのは、五月も半ばを過ぎてからだった。 「不服申し立ては正式に受理されました。門前払いということではないと理解して良いかと思います。 六月二十日に初回の公判が始まりますが..
-
敢えて火中の(第五十九回) 第十章 村木法律事務所(3)第二庁舎の三階の一番西側にある広い部屋に、沼田はソファに座って俺を待っていた。 「大変だったな」 沼田はそう言ったきり、言葉を飲み込んだ。 俺の目の前に置かれた茶碗は、来客用の茶托付きのも..
-
敢えて火中の(第五十八回) 第十章 村木法律事務所(2)これからの日程を打ち合わせたが、一回目の公判が六月二十日とかなり先であることから、まずは人事院に対する不服申し立てから着手することになった。 また公判の準備として、冨田検事の忠告どおりに沼田に弁..
-
敢えて火中の(第五十七回) 第十章 村木法律事務所(1)昨夜は遅くまで妻や子供たちと話をしていて、寝たのは一時を過ぎていたのだが、六時には目が覚めてしまった。 三週間の拘置所生活で身に付いた早起きの習慣だ。早起きは悪いことではないから、これからも続け..
-
敢えて火中の(第五十六回) 第九章 葉桜の頃(3)飛田検事が見るようにと言っていた周辺の桜は、既に葉桜という状態だったが、それでも俺の目には新鮮な外界の輝きで一杯のように感じられた。 拘置所の厚い鉄扉を抜けて、待合室のベンチで所在なげに待ってい..
-
敢えて火中の(第五十五回) 第九章 葉桜の頃(2)村木弁護士は免職処分となった理由の中で、同列である筈の島田班長に対する監督責任を、俺が負わされているところが引っかかるとし、法務省は主管班長という言葉に全ての責任を被せようとしているのではないかと考..
-
敢えて火中の(第五十四回) 第九章 葉桜の頃(1)その日、面会室で待っていたのは、花村と中島の二人の入国警備官だった。 一日に面会できるのは一回だけだから、彼らと面会すると妻とは面会できなくなる。 それを知っていて俺は、二人の面会に応じた。..