記事「入国管理局」 の 検索結果 729 件
-
敢えて火中の(第五十三回) 第八章 生きていてこそ(3)三月二十五日、鉄格子越しに妻の顔を久しぶりに見た。逮捕されてから二週間の時が経っていた。 結婚して十五年経っている。ずっと専業主婦で俺と子供のためにだけ生きてきた女だ。世間知らずのようなところも..
-
敢えて火中の(第五十二回) 第八章 生きていてこそ(2)弁護士が接見に来たのは、逮捕されてから四日が経ってからのことだ。 「九鬼さんの御友人である万田さんの紹介で、弁護をすることになりました。 村木と言います。隣は一緒に弁護をする玉田弁護士です」 ..
-
敢えて火中の(第五十一回) 第八章 生きていてこそ(1)収容房に戻ると、名前こそ知らないが俺の房の担当係長らしき人が、房の中に入ってきた。 「処分も決まりましたね。起訴されたのですから、後は早く保釈申請を弁護士さんにしてもらって、一日も早くここを出てく..
-
敢えて火中の(第五十回) 第七章 飛田検事(3)私は三畳ほどの広さの部屋の中で、膝を抱えてじっと考え込んでいた。 泥仕合になるとは、どういうことなのだろう。 未だ認めていないというのだろうか。 それにしては免職処分も受けているし、起訴..
-
敢えて火中の(第四十九回) 第七章 飛田検事(2)午後三時、看守の呼ぶ声に応じて取調室に向かった。 飛田の机の上はきれいに片付いて、入室した私を迎える飛田の顔も心なしかほっとした様子だった。 「行政処分の告知は終わりましたか、稲山さんも免職処..
-
敢えて火中の(第四十八回) 第七章 飛田検事(1)目の前の小さなテーブルには、アルマイト容器に入った米麦混合の昼飯が、ひっくり返したまま口も付けずに残っている。 処分の告知を受けた日、再び拘置所の昼食に手が伸びなかった。 初めて拘置所の食事..
-
敢えて火中の(第四十七回) 第六章 懲戒免職(3)持って回った分かりにくい文章だ。 私はいきなり最初のところで、何を言っているのだろうかと不審に思った。 それは、最初に大戸課長補佐指揮の下と謳っていながら、島田班長の違反調査における非違行為..
-
外国人性犯罪者の矯正は可能か(幼女暴行殺人を犯したペルー人被告に無期懲役判決について考える)昨日、広島地裁において、幼女暴行殺人に問われたペルー人に対し、判決が下された。 広島市で昨年11月、下校中の小学1年木下あいりさん(当時7)に性的暴行を加えて殺害したとして、殺人や強制わいせ..
-
敢えて火中の(第四十六回) 第六章 懲戒免職(2)「被処分者を免職とする。被処分者は、平成八年四月一日から同十年四月八日までの間、東京入国管理局警備第二課調査第一班長として、東京都、埼玉県及び群馬県内における法違反者の摘発及び違反調査等の業務に従事し..
-
敢えて火中の(第四十五回) 第六章 懲戒免職(1)三月十八日、法務省大臣官房人事課付きの検事と法務事務官の二人が、処分に関する最終調査のために、私と面会した。 既に出来上がった意見書を朗読し、間違いがないかを訊ねた後、それを私に書き写させるとい..
-
敢えて火中の(第四十四回) 第五章 逮捕勾留(4)「どうしても分からないのですが。何故九鬼さんは、無かったことにしようなんて自分から言ったのですか。 あなたには、そうしなければならない理由はなかったように思えますが。 それと稲山さんも大戸さん..
-
敢えて火中の(第四十三回) 第五章 逮捕勾留(3)無様な姿を晒すことなく自己をしっかりと持って、ここはやり過ごさなければならないときだと心に言い聞かせ、信じたくない思いと突きつけられた現実を咀嚼し、自分をやっと制御できる頃には、東京拘置所に着いてい..