記事「入国管理局」 の 検索結果 729 件
-
敢えて火中の(第三十一回) 第二章 刑事告発(2)広いフロアの片隅に、薄汚く埃を被った応接セットとは呼べないような場所が在り、総務課に着いた私はそこに座って待つように案内された。 そこには既に畠山警守長がいた。 武道を嗜む畠山の恰幅の良いが..
-
敢えて火中の(第三十回) 第二章 刑事告発(1)二月十四日の夜の新聞記者の来訪から始まった事情聴取のために、これまで幾度となく通ってきた本省への道だった。 浦和駅から京浜東北線に乗り有楽町で降りると、毎日必ず日比谷公園で時間調整をした。 ..
-
敢えて火中の(第二十九回) 第一章 本省調査(2)およそ二週間に渡って、土曜も日曜もなく事情聴取は続けられた。 「出入国管理及び難民認定法第六十五条に基づく身柄引渡しは、収容令書が発付されることが要件として定められていますが、収容令書が未だ発付さ..
-
敢えて火中の(第二十八回) 第二部 守るべきもの 第一章 本省調査(1)報道された翌日の二月十六日、土曜日、私は霞ヶ関にある法務省本省に呼ばれた。 本省総務課の総括補佐官を訪ねるように指示され、そして総括補佐官に案内された十階の会議室で、私を待っていたのは西という検..
-
敢えて火中の(第二十七回) 第十三章 新聞報道(2)『東京入管が公文書廃棄』 『二人の上司は否認するも、部下たちは事実関係を認める』 『公文書廃棄は刑事犯罪、公文書偽造の疑いも』 翌日の毎朝新聞に、その夜の本省や稲山、九鬼らの応答が記事に盛り込..
-
敢えて火中の(第二十六回) 第十三章 新聞報道(1)二月の夜八時、真っ暗闇の中に門灯が白く寒々しい光を放って、家の前のほんの小さなスペースを浮き上がらせている。 駐車スペースに停めたワゴン車の陰から、突然湧き出したように黒っぽいスーツ姿の男が現れ..
-
敢えて火中の(第二十五回) 第十二章 最初の処分(2)浦和駅の東口を降りた九鬼は妻に、どのように言って異動を知らせようかと考えていた。 入管に勤めるようになって知り合ったいわゆる職場結婚した妻は、人事異動のことも良く知っており、今回のような一年での..
-
敢えて火中の(第二十四回) 第十二章 最初の処分(1)稲山と大戸が本省の片隅で語り合ったように、何の音沙汰もないままその年が暮れて、九鬼たちは新たな年を迎えた。 一月から二月に掛けては、公務員にとって人事異動の発表の季節となり、落ち着かない日々が始..
-
手数料納付書の謎(消えた納付書案内)入管から葉書きが送られてきた。在留資格の変更申請について、許否の結果を通知するから、来いというものだ。 それを受け取った申請取次ぎ行政書士は、いつも受け取る葉書きと記載内容が違っているのに、不審..
-
敢えて火中の(第二十三回) 第十一章 処分の行方(2)埼玉県草加市、国道四号線に沿って広がる埼玉県の東側に位置するこの町は、埼玉県の中でも比較的早い時期から外国人が入り込んでいた。 草加警察署には、無認可でブラジル人の労働者を派遣する会社の、労働者..
-
敢えて火中の(第二十二回) 第十一章 処分の行方(1)忙しくしているときだけは、何もかも忘れることができて、心の平安が保たれている。 いつしか九鬼は、自分を絶え間ない忙しさの中に、追い詰めるようになっていた。 その後、山下から何の音沙汰もないこと..
-
敢えて火中の(第二十一回) 第十章 最後の摘発(2)私鉄の駅の直ぐ傍に、その建物はあった。三階建ての鉄筋コンクリート作りの建物には、何の表記もされていなかった。 この辺りの自動車部品工場に派遣されている工員たちの、宿舎として使われているという話だ..