記事「入国管理局」 の 検索結果 729 件
-
敢えて火中の(第二十回) 第十章 最後の摘発(1)ずっと海を見ていた。 東名高速道路は海岸線に沿って、九鬼たちの乗る車を名古屋方面に導いていた。 上田市役所における摘発は、こちらの動きを察知したアントニオというブローカーによって、偽造証印を..
-
敢えて火中の(第十九回) 第九章 偽造証印(2)澄んだ瞳をした美しい女性だった。 その日も窓口に座っていた原野は、申請書を差し出すブラジル人女性に目を奪われた。混血を繰り返しているブラジル人女性には美人が多い。 それは原野が若く独身で、そ..
-
敢えて火中の(第十八回) 第九章 偽造証印(1)長野県上田市、南北に広がる信州の中央部に位置し、機略を駆使して戦国時代を駆け巡った真田氏が、明治維新後の廃藩置県まで統治していた城下町である。 一都八県の管轄を持つ東京入管は、長野県も当然その管..
-
敢えて火中の(第十七回) 第八章 届かぬ願い(2)「それと九鬼さんは『元々我々が捕まえてきた身柄ですし、ここは無かったことにしませんか』と言っているが、そう判断した根拠は何ですか」 逃走した身柄が六十五条の身柄であることは、九鬼自身が記名押印した..
-
敢えて火中の(第十六回) 第八章 届かぬ願い(1)企画管理部門は入管の警備部門を人体に例えれば頭脳に当たるのだが、必ずしも適材適所で人員を配置している訳でもなく、定期的な人事異動を繰り返している。 今回のように内部に於いて発生した事件を取り調べ..
-
敢えて火中の(第十五回) 第七章 探りあう思惑(2)「稲山さんや大戸さんは、いったい何と言っているのですか」 九鬼は山下が答えてはくれないだろうと思いながらも、そう聞かないではいられなかった。 そんな九鬼に山下は無言のまま、じっと九鬼の顔を見つ..
-
敢えて火中の(第十四回) 第七章 探りあう思惑(1)午後一杯かかった事情聴取が終わり、やっと開放された九鬼は帰宅しようと庁舎の玄関を出た。 初夏の爽やかな風を心地よく感じて歩く九鬼の後ろから、足音高く追いかけて来る者がいた。 大戸だ。 大..
-
敢えて火中の(第十三回) 第六章 真相の究明(2)「幸手警察署との合同摘発の場合は、総数二十八人を摘発し、警察が送致予定で逮捕したのが四人、入管法第六十五条に基づく身柄引渡しを予定しての逮捕が八人、入管が任意同行する者が十六人という内訳だったと思いま..
-
千葉のフィリピン人女性の生命保険金請求訴訟に寄せて(この人の在留資格は何?)2006年05月18日03時01分(朝日新聞朝刊) 千葉県で、98年に急死した建材会社員男性(当時34)の生命保険金の支払いをめぐり、受取人のフィリピン人女性(38)が保険会社を相手取って保険金4..
-
敢えて火中の(第十二回) 第六章 真相の究明(1)稲山も大戸も、共にはっきりとした話をする様子がないままに、事情聴取は繰り返し行なわれ、時間だけがいたずらに過ぎようとしていた。 最初、山下の頭の中には、一つの架空のストーリーが出来上がっていた。..
-
敢えて火中の(第十一回) 第五章 事情聴取(2)大阪に戻った稲山は、再び東京へ行って話をするように、局長から言い渡される。 しかもそれまでの態度を改めて、真摯に事情聴取に応じるように戒められたのだ。 自分の席に戻った稲山は、腹の中が煮え繰..
-
敢えて火中の(第十回) 第五章 事情聴取(1)当時の状況について思い出せる限りのことを、関係する職員全員が陳述書にして提出した。 それらの陳述書を集めた後に、企画管理部門の山下首席入国警備官と二人の統括入国警備官による個別の事情聴取が始まっ..