記事「古典文学」 の 検索結果 231 件
-
古典文学探訪88 菅原孝標女「更級日記」2 願いをかなえてくれた薬師仏を見捨てて帰京する悲しさ物語を読みたくてたまらない「私」は等身大の薬師仏を作ってもらって、手を洗い身を清めてその仏像が安置してある部屋に、人のいない間にこっそり入っては、「どうか早く私を京にお上げになって(帰してくださって..
-
古典文学探訪87 菅原孝標女「更級日記」1 地方にいて物語が読みたくてもかなわないじれったさ「更科日記」の冒頭の部分である「門出」と、都で念願の源氏物語などの本を手に入れる「物語」は高校の大抵の古典の教科書には掲載されており、私も今までその部分を何回か授業で扱ってきましたし、現在も扱ってい..
-
古典文学探訪86 上田秋成の「つづら冊子」 京大の入試問題に取り上げられた二人の母親の話上田秋成の「つづら冊子」が数年前の京大の古文の入試問題に取り上げられました。これは上田秋成が七十才の時に編集した歌文集ですが、近世説話と呼べるような内容です。問題となった本文の部分は次のようなも..
-
古典文学探訪85 「離魂記」1 魂が抜け出ししかも人間としての実体を伴ったまま恋人と一緒になる展開「離魂記」は不思議な内容の話であり、最近漢文の授業で取り上げました。作者は唐の時代の陳玄祐であり、古小説や説話を集めた「太平公記」に載っている話です。文字通り魂が離れて、恋人のところへ飛んでゆく話で..
-
古典文学探訪84 大和物語「旅寝の夢」 宇多法皇と橘良利主従の親密な仲 碁打ちの名人の良利宇多天皇が譲位した翌年と「大和物語」では述べられていますが、実際は譲位した二年後、宇多天皇は出家してあちらこちら山歩きして仏道修行を行ないました。宇多天皇のそばに仕えていた橘良利は備前掾(「大和物..
-
古典文学探訪83 阿仏尼「十六夜日記」3 重要古語・助動詞を始めとする文法や歌の修辞法を押さえる阿仏尼は暮れに清見が関を過ぎますが、岩を越す浪が白い衣を岩に着せるように見えるのが面白いとして、次の歌を詠みます。 「清見潟年ふる岩にこととはん浪のぬれぎぬいく重ね着つ」 (清見潟の古い岩に..
-
古典文学探訪82 阿仏尼「十六夜日記」2 現代との夢の解釈の違い・妖艶な歌を敢えて詠む尼「伊勢物語」の東下りの段にある「駿河なる宇津の山辺のうつつにも夢にも人にあはぬなりけり」という歌ですが、当時プレイボーイとの評判高かった在原業平とおぼしき「男」が詠んだものです。都に残してきた恋人を..
-
古典文学探訪81 阿仏尼「十六夜日記」1 大井川と宇津の山で詠んだ歌阿仏尼の書いた「十六夜日記」の一節が数年前の大学の入試問題に取り上げられ、私もこの問題を三年生を対象にした講習で扱ったことがあります。リード文に、作者が亡夫の遺産相続をめぐる訴訟のために、都から鎌倉..
-
古典文学探訪80 源氏物語「柏木」の巻の「罪の子」3 年老いて子をなした白楽天と似て非なる心境本当は自分の子ではない者を、みんなには自分の息子であると言わねばならない源氏の苦しみは分かりますが、かつて自分が犯した罪の報いをこういた形で受けているのですから、どうしようもないことだとして「源氏物..
-
古典文学探訪79 源氏物語「柏木」の巻の「罪の子」2 祝いにふさわしくない夫婦のぎすぎすした会話平安時代の貴族の社会で行われていた五十日の祝いに餅は欠かせぬものでしたが、今の「お食い初め」には、ごはん、魚、汁物、煮物といったものが用意されるのでしょうか。地方によっては、小石を用意するところ..
-
古典文学探訪78 源氏物語「柏木」の巻の「罪の子」1 薫君の誕生五十日の祝いを素直に喜べない源氏源氏物語の「柏木」の巻の「罪の子」の箇所を授業で扱いました。光源氏が自分の子供の薫君の誕生五十日を祝う儀式の時の様子が描かれています。薫君は表向きは源氏の子供ということになっていますが、実は自分の妻..
-
古典文学探訪77 中島広足「うつせ貝」 ロマンチストの男とリアリストの女中島広足「うつせ貝」の一節が、今から5年前の2004年度のセンター入試の古文で出ていました。。江戸時代の擬古文なので、中古の作品よりはいくぶん読みやすいはずですし、この問題文には男と女の二人の登場人..