記事「小説」 の 検索結果 36259 件
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第56話 虜囚-10「行け! 攻撃の手をゆるめるな! このままモンペリエに向かえ!」 覆面の男はなおも叫び続けた。覆面と思われたのは包帯を顔に巻いていただけで、それが解けると、老人の顔が出てきた。さっきまで泣いていた..
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第56話 虜囚-9「やめな! なんてことするんだい!」 「カミザールの居所を言えば、やめてやる。」 「あたしは何も知らないよ。知ってたって誰が教えるもんか!」 ガブリエルは怒りに燃えた眼で若者たちを睨みつけた。..
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第56話 虜囚-8「おかしいねえ。」 アルの安否を気にかけている女性がもう一人いた。ガブリエルである。 「うむ、うむ、実におかしい。」 相鎚を打ったのはリュックであった。彼は妻と孫娘たちを亡くしてからしばらく..
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第56話 虜囚-7「お気の毒に…。」 シャルロットが言うのに併せて侍女もぽつりと言った。 「ああ、大旦那様はジュネーヴにいらした方がどれほどお幸せだったことでしょう。こうしてご危篤になられても、牧師様にお慰めして..
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第56話 虜囚-6シャルロットはしばらくうつむいて考え込んでいたが、やがて顔を上げた。そこには決意に満ちた表情があった。 「わたし、男爵様のお見舞いに行くわ。」 「何を言い出すかと思ったら…。先方はそんな見舞いな..
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第56話 虜囚-5「おかしいわ!」 シャルロットは久しぶりに休暇を取って屋敷に戻ってきたアドルフに苛立ちをぶつけた。 「何もおかしくなんかないだろう。」 「どう考えてもおかしいわ。信仰の自由について新しい知らせ..
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第56話 虜囚-4秋も終わりの頃、カミザールの主要な面々はそのほとんどが捕らえられ、ヴィラール元帥の提示する三つの道のどれかを選ばされることになった。バヴィル知事はこの結果に大満足であった。 「元帥殿、ようやくサロ..
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第56話 虜囚-3ヴィラール元帥は捕らえたジョアニーを丁重に扱い、そして彼に三つの選択肢を示した。一つは国外への亡命の道、これには旅費まで出してやるとのおまけ付きであった。それから二つ目は家に戻って終生大人しく暮らす..
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第56話 虜囚-2「うわあ!」 マゼルは汗びっしょりになって震えていた。 「あんた、大丈夫?」 サラが尋ねた。 「ああ…、何でもねえ。これは聖霊がおれを捕らえた時にこうなるんだ。」 「それはわかってるよ。..
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第56話 虜囚-1これまでのあらすじ 1685年、フランスの絶対君主ルイ十四世は、信教の自由を定めたナントの勅令を廃止し、カトリック以外の宗教を禁じた。迫害に耐えかねたユグノーによって「カミザールの乱」が引き起こさ..
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第55話 武勲詩の顛末-30一方、荷馬車の方ではこんな会話がなされていた。 「ねえ、今すれ違った馬を引いていた男の人、あなたは見覚えないかしら?」 「おれも同じことを思っていた。たしかボルドーで会ったことが…。いや、その男..
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第55話 武勲詩の顛末-29間に合わなかったのはディマンシュの方も同じであった。彼がイギリスの使者を適当にあしらってエーグ・モルトからセヴェンヌに戻ってきた時、まず第一にカステルノー・ヴァランスを訪ねた。しかし、そこで彼が見た..