記事「新撰組」 の 検索結果 769 件
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その日の朝~11月17日(4)この猫に会うために、境内に出て来たのか。猫の世話などしていることを同志達に知られたくなくて、それで言い淀んでいたのだろう。 「みすけ、と言うのかい」 「はい。少し前からこの周囲の寺に出入りしている..
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その日の朝~11月17日(3)目を閉じた服部の神経は、普段よりも鋭敏になっていた。音よりも先に空気の流れが、僅かな変化となって服部の感覚に触れた。その少し後に、ゆっくりと境内に出てくるものがいた。 「藤堂君か?」 まだ暗い境内..
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その日の朝~11月17日(2)明け六つの鐘が鳴らされる。 息が軽く上がる中、服部は素振りを止めた。身を切るような冷たい朝の空気の中で、大量の汗をかいた服部の全身から湯気が立ち上る。 薄暗い境内の中で、服部は目を閉じ、立ち尽くし..
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今日は何の日・愚痴の日(11月中旬)時の経つのは早いもので…… 『人間愚痴大全』発売記念、「今日は何の日・愚痴の日」の11月中旬版を先行公開いたします。 今まで通りツイッターでは毎日配信していきます。(→こちら) ..
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鬼の章(96)「この国の未来と正しい歴史のために」 嘗て聞かされたその言葉が蘇った。 正直、その様なことが自分に出来るのか半信半疑だった。1人の武士でしかない自分に、国やその歴史に関わるなどということは想像さえ..
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歴史探偵 新撰組初新撰組が司馬遼じゃなかったのはいいやら悪いやら。 しかし、新撰組って大筋の歴史から見た場合、ただの 実働部隊ですよねえ。それをここまで押し上げるから 小説の力ってすごいもんだわ..
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鬼の章(87)「先程は鬼でも逃げ出すような殺気を放ち、あの芹沢さんをも退けたかと思えば。あの狼狽えようは、まるで泣き出しそうな子どもではないですか」 「違いない」 土方は苦笑した。土方自身、付き合いの長い藤堂を..
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鬼の章(86)狼狽える平間や野口の視線を受けながら、そう言って笑う芹沢の表情には、既に余裕が戻っていた。 「京都天狗党、芹沢鴨である。儂の前に立つならば、命と引き換えになると心得よ」 高らかな名乗りの後、芹沢は..
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鬼の章(85)「伊東殿、念のために御意向をお聞きしよう。先程の言の通り、御陵衛士の分離派共を粛清するために参られたと思って宜しいのか?それに土方。新撰組としてはどの様な意向でここに集まっておるのか?事と次第によって..
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鬼の章(84)一体何者なのか。そんな芹沢の疑問に答えるように、一人の男が進み出た。 「貴様」 歯噛みしながら血走った両眼で芹沢が睨み付けた相手。それは伊東甲子太郎だった。 時を同じくして、天狗党の包囲の..
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鬼の章(83)時間を掛ければ被害は拡大する。 だが、芹沢は強く、異刻人である芹沢の能力は常人を越えているという。 そんな男に、自分が勝てるのだろうか。 この場に駆け付ける前から、服部の心中にはそんな幾つもの思..
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鬼の章(82)芹沢が感じ取ったのは、それまでとは明らかに異なる気配だった。 次の瞬間、服部は猛烈な勢いで芹沢に斬りつけた。芹沢がその太刀を止められたのは、なかば運だった。反射的な反応で受け止めたものの、今までとは..