記事「詩」 の 検索結果 48540 件
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男と女の時男は冷たい情念の雨に打たれ 小さく羽ばたきする 水飛沫は煙って見えない ただ体がぴくっと震えるのがわかる すっかり葉を落とした枝にとまって 橙色の目が虚ろに濡れて 黄色いくちばしから 呪..
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カラスの勝手ここは喩えのないムラ 曖昧さを嫌う 単純明快なムラ リアルなムラ なにもかも推し量ることのないムラ 科学のないムラ 芸術のないムラ 儀式のないムラ 時代に取り残されて 日溜ま..
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冷たい酒冷たい酒をぐいと飲む。 悲しさはからだを思いやることができないから、 またカップに口をつける。 しんしんと麻痺がせりあがってくる。 口元から、胸から、両肩から、 悪意を引き連れて、 むしば..
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小高い山から細い急坂を枯れ葉を踏みしめてのぼる。 古の歌人の墓にたちよる。 だれが供えるのか、 仏花はいつも新しい。 小高い山はすぐ頂上にたどりつく。 それでも少しだけ胸は上下して、..
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元日に元日の海岸に出た。 光がまぶしい。 波は荒かったが空との境が鮮明だ。 遠くの半島も見える。 それから町に出た。 自転車は今日はお休みだ。 ぶらぶら歩いた。 植え込みの寒椿に心ひかれ、 ..
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12月の最後の海海に行った 風がつよい 砂がふきつける 頬がいたい 目を開けていられない 思わず顔を隠すと 足もとの砂がいっせいに転落し おまえを凌駕するための礫になる 白い波がひ..
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通行人あたしは通行人 科白なんてない 舞台の下手から上手へ 急ぎ足で うつむき加減に スポットライトをさけて 行き過ぎるだけ 一分にも満たない とるにたらない出番 ほっといて 見つめ..
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理不尽の風理不尽の風が吹く。 眠剤とアルコ-ルが、 心のざわめきを退潮させたというのに、 こんな真夜中に、 ヒュ-ヒュ-と、 バタバタと、 波紋と波紋を衝突させる。 やりきれなくて、 いたたまれ..
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12月の朝空の底に追いやられた雲は 雪をいだいた山並みとなって ビルや高架や森の背後にどっしりひかえ 白い霧を舞いあげる ピカピカに磨いた青い一枚ガラスは いましも亀裂をいれようと 不吉な張りつめた..
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男と女の時女は右という 男は左という ここは分かれ道 道標ひとつない 北風が渦を巻き ススキが悲鳴を上げる どっちを行こうとかわりゃしないのに どちらも頑固に言いつのる わかったと男がいう そ..
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寒い寒い うつむいて 肩を丸めて すぼめた腿の間に両手をいれて こする 暖房をきかせたらいいのに 温かい蒲団にくるまればいいのに せめて窓を閉めたらいいのに けれども なぜか動けない ..
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もみじ真っ赤に染まった もみじの葉っぱをひろおう 風に吹かれて舞い落ちたばかりの 秋の終わりを鮮やかに彩る 三枚の葉っぱを 一枚は文庫本の 「見出された時」の最終巻の そのなか..