記事「詩」 の 検索結果 48540 件
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小面スポットライトが壁に山を描く。 横にはしる仕切り線は山の麓だ。 麓のずっと下には空席がうかぶ。 まるいテ-ブルと簡素なイスが黄色い孤独をただよわせる。 唇にはさんだストロ-を吸うと、 溶..
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放浪六月の空を飛ぶ鳥を見上げていたら思い出した。 むかし放浪癖のある子がいた。 北海道でも九州でも行ってしまう。 もちろんお金は持っていないから無賃乗車だ。 ともかくじっとしていない。..
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凶器、あるいは翼赤い縁取りの銀色の翼が女の背からゆらゆらと燃え上がる。 男はその炎に巻かれそうになりながらも雨に打たれ、 驚きの同心円が数知れずぶつかりあってくだける川面を眺める。 女は橋げたに手をかけて男..
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高台から見知らぬわたしに語りかけるあなたは 悲しみの海をかかえているのでしょうか さりげなさをよそおって わたしを直視するでもなく うかがうでもなく ほんの少し首をかしげて つぶやくように 歌う..
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あじさいの花あじさいの花は鮮烈に心にはりつく。 精妙な色彩をたたえ、矩形にしっくりとおさまって、 まるでもう引きはがすことなどできないように。 あじさいに切り取られた心の余白もまた、 お寺の山門をくぐ..
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喪失ショ-ウィンドゥにうつる自分をふと見つめると、 過去の記憶が波打っている。 上着もズボンも下着も、 靴も腕時計さえも、 あっというまに波間に消えるのがかいまみえる。 あわててその場を離れて、..
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信号無視交差点を渡っているとき、わたしが向かう通りから大きな声がきこえてきた。 そこにはバンが止まっていた。 そのバンに向かって、自転車に乗った若い外人がなにやら叫んでいた。 『ファック』ということばだ..
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男と女の時男はバスを降りてまばゆい光に手をかざす。 まがった小指と伸びた薬指のあいだから、 日傘をさした女が現れる。 胸元からうえを藤色のシェ-ドでかたどって、 今を腐食させる過去の毒液にさいなまれ、 ..
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家をでて家を出て路地をまっすぐ行って狭いバス通りに出る。 そこを左に曲がる。 白線の手前の側溝のふたが音を立てる。 橋を渡る。 海に流れる川は干潮のため一部黒い地肌をのぞかせる。 コイがなめらかにお..
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妄想のひらがな3さ たすきがけの背中 右にさした刀の重みで黒い帯は右側が少しさがる 左ぎっちょのはんぱな渡世人の命はいかにも軽く それでも前のめりに倒れる し 着物姿の女性のたおやかな正坐 膝で割れ..
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落花真紅のバラの花にそっとふれた。 すると花びらがはがれて落ちた。 そっと、 心をこめて、いつくしみをこめて、 花のしずくが指先からしみ込んでくる、 そのむずがゆさにとらわれて、 そっとふれた..
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やりきれなさ改札口を出る。 この人混みのなかのやりきれなさはどこからくるのか。 手垢にまみれた過去のページをめくっても、 乾いた音がさらさらと耳をうつばかりで、 過去と過去をあやうくつなぎとめる綴じ紐は赤..