記事「詩」 の 検索結果 48541 件
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暗い淵底なしの淵に浮き沈みしながら 暗い葉かげからの声を聞く 手をのばして 息をととのえて 気力を振り絞って もう少しだけ ほんのわずかだけ顔をのぞかせて 羽ばたくように 体の力を抜いて..
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池畔にてほんのり赤みを帯びた薄紫色の首筋は陽にきらめいてよどみ、 そこからなだらかに蛇行して赤茶けた灰色のさざ波をたてる。 首のよどみは池畔をうかがいせわしなく向きを変える。 水平に傾けたとき黒目に、ぬ..
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冬の積乱雲冬の積乱雲が水平線の間近かにわきたつ かつてのざわめきをひきずって 獰猛な牙をむき出しにして ぐいと描く曲線の その境界に 銀色の濃淡をにじませて まるで突き放すように 威嚇するように ..
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底辺から敵は誰か、味方は誰か。 愛の鎖でつながった輪に亀裂を入れるものは、 太陽の恵みをうけた雑草のひとくれまでも、 先史時代からの怨念の炎に焼かれるがいい。 幼い子どもであろうと、腰の曲がった老人で..
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手のささやき新吉は藁打ち台の藁の束を重い木の槌でたたいていた。土間の引き戸を開けて伯父が帰ってきた。酔っているようだった。伯父は、土間のむしろに座っている新吉の前に近づいてきた。そ..
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待ってもうとっくに待ちあわせの時刻は過ぎているのに、 腕時計を眺めるでもなく、 いらいらするでもなく、 夕闇のせまる空を見上げ、 こんなに時がすべての移り変わりをゆっくり刻み続けることに安心して、 ..
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喪中はがき十年以上もまえのことだ。 版画家の先生と飲む機会があった。 かれの大言壮語には辟易した。 大金を見せびらかしたり、名の知れた著名人を罵倒したり、 自分の作品をもっともらしく解説したり、豪放磊落..
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洗濯物遠慮しなくていいんだよ。 お腹がすいたらなんでも作ってあげるからね。 冷蔵庫に必要なものがなかったら買ってくるからね。 かまわないでほしかったら、じっと隣の部屋で待ってるからね。 いつでも飛び..
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交差点にて信号が赤にかわる。 植込みの土留めに足をかける。 冷たい風に思わず震える。 すぐそばを車が行き過ぎる。 どうだんつつじの火焔の中央にクスノキが立つ。 くすのきくすくす、 空に..
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お好きにつらいと言ってあなたは髪をかき上げる。 視線がこきざみに屈折する。 ファシズムの気配をたたえたオゾンの香りがながれ、 髪がまた額にひるがえる。 空はうっとうしく落ちてくる。 何が?ときい..
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夜汽車確かなものを見失って久しい ひと通りの少ない広い舗道をすすみながら ひょいと顔をあげれば日輪はまぶたのうらにやどる わたしは顔の前に手をかざし期せずして火焔のうわずみをすくう すると植込みの針..
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駅前旅館急な階段を上る。 上がりきるとトイレがある。奥に水飲み場がある。 その間に部屋がある。 薄暗く床もミシミシする。 ふすまを開く。 四畳半? すりきれた畳にタバコの焦げ跡がある。 さびれた..